サプライズな矯正歯科
動物園のサルが指を吸っている写真を見たことがあります。
人まねでしょうか、サルまねでしょうか。
舌というものは筋肉だけで成り立っているといってもいいほど、よく動く組織のひとつでしょう。
こんなに軟らかい組織が、上下の前歯の間に舌先端をさし込む癖。
前歯部は舌のため萌出できず開噛状態になるほど、軟らかい組織です。
体の中で、本当に歯を動かしたりするのでしょうか。
そうです、動かすのです。
普段あまり気がつかないことですが、少し知っておく必要があります。
舌先を上下の前歯の間から出したままおしゃべりをまず、舌が上下の歯の間に介在することで、歯は生えるのをストップさせてしまうのです。
つまり開噛の原因になるのです。
この癖は中学生までなら自然に治ってしまうこともあるようですが、そのまま大人になってしまう人もいます。
時々、テレビやラジオのアナウンサーにもいて、私はその発音を聞くとちょっとばかりイライラします。
舌を前方にだしている状態を、私は「挿舌癖」と総称しています。
この状態のままだと普通の人はツバキを飲み込むことはできないのです。
挿舌癖の人は平気でやっています。
これは正常なパターンではありません。
こういう飲み込み(庶下)の仕方を「異常琉下癖」と呼びます。
この挿舌癖は、開噛と、異常礁下癖を引き起こすだけでなく、開噛以外に、上下の前歯群にとっても問題があるのです。
ツバキ(唾液)を飲み込むことを指すのです。
もっとも、国語の辞書で「弄舌」を引くと、「おしゃべり」といった意味になります。
こうなると矯正歯科の用語の方を直すべきでしょう。
さて、舌先を上下の歯の間にいれたままだったら、どういうことになるのでしょうか。
まず、上下の前歯が生えてこられなくなるのです。
そんな馬鹿な、とお思いでしょうが、これ、本当です。
交通事故によるあごの骨折や変形も無視できません。
こうした場合は外傷の程度によって、歯並びの変化もさまざまです。
大きな事故の時は、救命作業で大変ですが、命に別状ないと分かればあごや歯の方は無視されることがあり、後で問題になります。
事故で歯が抜け落ちてしまえば別ですが、グラグラになっても助かることがあります。
最近は、矯正器具のブラケットを簡単に直接歯に接着させる方法が一般的になりましたので、骨に潜って上下の前歯が口の中で現状を保っているのは、後ろから舌が、前から上下の唇がお互いにバランスよく押し合っているからです。
唇も舌も、歯に比べればはるかに軟らかい組織ですが、これらの運動をつかさどる筋肉も、立派な矯正力として機能しているのです。
両者のバランスが崩れれば、それなりに歯並びは悪くなるのは当然でしょう。
普通は、上あごの前歯がひどく前方に飛びだしてきます。
こうした挿舌癖などの一連の異常な舌の行動は、特別な訓練や特殊な装置で治療することができます。
挿舌癖の原因はいろいろ考えられますが、乳児期に人工栄養で育った場合など、長めのゴム乳首(ニップル)を使うのも原因のひとつのようです。
ニップルが授乳時に舌を上から押しつけるので、舌は前方に逃げようとするからです。
怪我などで乳歯(B)に外力(C)が加えられた場合、永久歯の芽(歯歴)(A)はそのショックで歯槽骨の中で位置を変えてしまう。
(B)を軽く押さえている指は、乳歯を支えている歯槽骨や歯肉の役割をしている。
しまった歯でも、比較的容易に引きだすことが可能になりました。
問題になるのは、むしろ余り気がつかなかった怪我、たとえば小さい時に三輪車から転げ落ちたとか階段から滑り落ちてあごを打ったといった程度の怪我です。
これが結構バカになりません。
乳歯の時代の比較的小さい事故は、大抵忘れられてしまうようです。
けれども、乳歯に強い力が加わった場合、まだ完成していない永久歯が骨の中でその生えてくる方向を変えたり、変形をおこしたりしているのです。
下あごの成長が特に問題になるようです。
というのは、上のあごの成長はあまり急激でないし、目立たないのです。
下あごは女の子の場合は十歳ころ、男の子は二年くらい遅れて十二歳ごろに一番伸びる時期を迎えます。
その時期は身長が伸びる時とほぼ一致しています。
成長するあごの関節部分に何らかの異常がおこり、あごの成長が左右アンバランスとなり、その結果あごの変形となることが多い永久歯の芽はまわりが硬い骨でかこまれているので、Aのおはじきのようには自由に飛べず、せいぜいこの袋の中で頭を九十度ほど曲げる程度です。
ところが、怪我の時期にもよりますが、永久歯の根の部分(歯根部)は、もとの方向に真直ぐできるので、でき上がった歯は途中で九十度折れ曲がった形になります。
骨のなかで極端に折れ曲がっている歯は、たとえ矯正できても、曲がった歯の根っこの先が歯肉から出てきたりして使えないことが多いので、矯正治療の対象から外すこともあります。
歯の芽(歯歴)と考えれば理解できます。
Aは、歯の芽で形成の途中ですから、頭(歯冠)までしかできておらず、その部分は歯小嚢(歯の芽を包んでいる袋)という袋の中に入っていまようです。
蓄膿症(副鼻腔炎)という言葉も昔ほど聞かれなくなりました。
栄養と健康管理のお陰で、全くといっていいほどなくなりました。
アデノイド(鼻の孔の奥で、のどとのつき当たりにある)が腫れている子供さんは少なくありません。
風邪のときに腫れたりする屍桃(腺)炎は、これも結構多いのです。
のどの奥に腫れ物があれば、鼻で呼吸ができなくなることがあります。
その場合は、口で息をする「口呼吸」ロ呼吸はいつも口を開けている必要があるわけです。
なぜ歯並びが悪くなるかといえば、口をいつも開けているので口を閉める口輪筋のしまりが悪く、上あごの前歯に必要な圧力がかからないことになり、そのため、前歯には舌の圧力だけが一方的にかかって、歯が前にでてしまうのです。
前にも述べましたが、上あごの前歯は上唇と舌、下あごの前歯は下唇と舌の筋肉の力でバラバラになります。
あごの変形症の治療は、単なる歯並びの治療だけではすみません。
骨が変形しているので、あごの外科矯正が必要になります。
ただし厳密にいえば、あごがわずかに曲がっている人はたくさんいます。
ミロのビーナスもわずかに左右非対称です。
この程度の変形はデフォルメといって、見る人にかえって安定感を与えるようです。
のバランスがとれない、つまりあごと歯のアンバランスの状態になるからです。
普通は、あごの方が小さくて、全部の歯をキチンと並べるだけの場所が足りなくなることが多いのです。
もちろん、たまには全く逆の現象もおこります。
あごの大きさに比べて、歯の方が小さい場合です。
すきまだらけの歯列弓になります。
空隙歯列弓です。
なぜ、歯とあごのサイズのバランスがとれなくなるのでしょうか。
第一に考えられることは、ヒトのあごと歯の「退化」の問題です。
ヒトの先祖と考えられている約二百万年前のオーストラロピテックス。
最初、南ア連邦のD教授によって発見され、三十年後やっと学界に承認されたといういわくつきのもの。
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